自動車保険ワーストランキングの読み方|苦情件数の比べ方

自動車保険のワーストランキングは、苦情件数の多さで並べると、苦情を広く数えて公表する会社や規模の大きい会社ほど上に来ます。2025年度の公表値を保険料1億円あたりに直すと、3社の差は件数で約16倍、保険金の苦情に絞ると約1.5倍まで縮みます。

この記事でわかること

  • ワーストランキングが何を数えて作られているか
  • 苦情件数の定義が会社ごとに違うこと(4社の公表ページ)
  • 2025年度の苦情件数を保険料1億円あたりに直した比較
  • 事故対応に近い「保険金」の苦情の割合
  • そんぽADRセンターに届いた業界全体の苦情の中身

一次資料: ソニー損保「お客様からの苦情受付状況」(参照)/三井ダイレクト損保「過去の受付状況(2025年度)」(参照)/日本損害保険協会「そんぽADRセンター統計号」(参照)

先に押さえる点

苦情件数は、保険会社が自分で数えて公表している数字です。数え方は会社ごとに決めているので、件数をそのまま並べても「どこが悪い会社か」はわかりません。

比べるなら、年度・定義・内訳をそろえ、会社の規模で割ってからです。この記事では、公表値が手に入った3社でそれをやってみました。

この記事が扱う範囲

  • 扱うのはワーストランキングの読み方です。特定の会社を「入ってはいけない」とは判定しません
  • 各社の特徴から選ぶ方法は自動車保険ランキング2026で扱っています
  • 苦情件数は会社全体(自動車保険以外の商品も含む)の公表値です

目次

自動車保険ワーストランキングの作られ方

ワーストランキングの順位は、何を数えたかで決まります。上位の記事を読むと、材料はおおむね口コミの点数・苦情件数・満足度調査の3つに分かれていました。

ワーストランキングの材料と、読むときの注意

材料何を数えているか読むときの注意
口コミの点数投稿された評価の平均や重みづけ書き込む人が偏りやすい。投稿数が少ない会社は数件で順位が動く
苦情件数保険会社が公表する件数数え方が会社ごとに違う。会社が大きいほど件数は増える
満足度調査調査会社のアンケート調査ごとに対象者と質問が違う。順位の下位が「悪い会社」とは限らない

苦情件数のランキングは規模と定義の影響が大きい

苦情件数は数字なので、客観的に見えるでしょう。ただ、契約者が多い会社ほど件数は増え、苦情を広く数える会社ほど件数は大きくなります。

次の章では、苦情の数え方を4社の公表ページで並べてみます。

苦情件数は会社ごとに数え方が違う

同じ「苦情」という言葉でも、何を含めるかを決めるのは各社です。ソニー損保は不満の表明を広く数え、アクサ損保は外部機関への申し出などを「苦情」と呼ぶというように、範囲がかなり違います。

苦情の定義と公表の単位(2026年10月19日に公式ページで確認)

会社苦情の定義(公表ページの記載)公表の単位
ソニー損保広告・商品・サービス・仕組み・従業者・代理店等を対象とした、保険契約関係者からの不満足の表明四半期・年度合計
SOMPOダイレクト(おとなの自動車保険)事業活動に関する不満足の申し出。アンケートの声で苦情と判断したもの、社外相談窓口・提携会社への申し出も含む年度
三井ダイレクト損保お客さまの声(苦情)を原因別に集計四半期
アクサ損保お客さまの声(VOC)と別に集計。「苦情」は主に外部紛争機関への申出と、システム障害に関する申出暦年の四半期

出所: ソニー損保「お客様からの苦情受付状況」、SOMPOダイレクト「お客さまの声を業務改善に活かす仕組み」、三井ダイレクト損保「過去の受付状況(2025年度)」、アクサ損保「お客さまの声の受付状況」。

アクサ損保は「苦情」と「お客さまの声」を分けている

アクサ損保の2026年上半期(1〜6月)は、お客さまの声(VOC)が7,012件、苦情が2,437件でした。どちらを「苦情」と読むかで、件数は3倍近く変わります。

ほかの会社と並べるなら、どちらの数字を取ったかを書き添えてください。アクサ損保は暦年で集計しているので、年度で公表する会社とは期間もずれます。

苦情件数を保険料1億円あたりに直す

会社の規模の差は、苦情件数を正味収入保険料1億円あたりに割るとならせます。同じ2025年度で、苦情件数と保険料の両方を公表している3社で計算しました。

2025年度の苦情件数と、正味収入保険料1億円あたりの件数

会社苦情件数正味収入保険料1億円あたり
ソニー損保25,155件1,888億5,200万円13.32件
三井ダイレクト損保2,120件439億3,700万円4.83件
SOMPOダイレクト1,599件732億9,100万円2.18件

出所: 苦情件数は各社の公表ページ(三井ダイレクト損保は四半期の合計 725・452・469・474件を足した値)。正味収入保険料はソニー損保「2026年3月期 決算概要」(188,852百万円)、三井ダイレクト損保「種目別保険料・保険金」2026年3月期(43,937百万円)、SOMPOダイレクト「SOMPOダイレクト損害保険の現状2026」(73,291百万円)。1億円あたり=苦情件数÷(正味収入保険料÷1億円)。

同じ3社でも、数え方を変えると差の大きさが変わる

  • ソニー損保とSOMPOダイレクトの差(2025年度)
  • 1苦情件数そのまま:約15.7倍25,155件と1,599件。規模と定義の違いを両方含む
  • 2保険料1億円あたり:約6.1倍13.32件と2.18件。規模の差をならした値
  • 3保険金の苦情に絞る:約1.5倍2.05件と1.40件。事故対応に近い苦情だけで比べた値

図:ソニー損保・SOMPOダイレクトの2025年度の苦情件数と正味収入保険料(各社公表)から計算。

割ってもまだ定義の違いは残る

1億円あたりに直しても、ソニー損保は不満の表明を広く数えているぶん、数字は大きく出ます。この表は「苦情の多い順」ではなく、規模をならすとどれだけ差が縮むかを見るための表です。

苦情件数と保険料はどちらも会社全体の数字で、自動車保険以外の商品も含みます。三井ダイレクト損保は、正味収入保険料の99%超が自動車保険でした。

事故対応に近いのは「保険金」の苦情

ワーストランキングを見る人が一番気にするのは、事故のときの対応のはずです。そこで苦情の内訳から保険金に関するものだけを抜き出すと、3社の差はさらに小さくなります。

2025年度の保険金に関する苦情(各社の区分のまま)

会社区分の名前件数苦情全体に占める割合保険料1億円あたり
ソニー損保保険金のお支払3,876件15.4%2.05件
三井ダイレクト損保保険金785件37.0%1.79件
SOMPOダイレクト保険金1,027件64.2%1.40件

出所: 各社の苦情の公表ページ(三井ダイレクト損保は四半期の 188・192・214・191件の合計)と、前の表の正味収入保険料から計算。区分の中身は会社ごとに違います。

ソニー損保の苦情は商品・保険料の不満が半分近い

ソニー損保の2025年度は、「商品内容・引受制限・保険料」が11,835件で、全体の約47%でした。契約の変更・解約手続は4,789件、継続手続は2,153件です。

保険金のお支払では、「対応の遅れ・対応方法」が2,885件と多くを占めました。区分が細かく出ている会社は、どこに不満が集まっているかまで読めます。

業界全体の苦情の中身(そんぽADRセンター)

損害保険会社とのトラブルが当事者で解決しないとき、契約者は日本損害保険協会のそんぽADRセンターに申し出られます。2025年度の統計では、苦情の7割近くが自動車保険でした。

そんぽADRセンターの受付状況(2025年度・2026年5月1日集計)

項目自動車全保険種類自動車の割合
苦情の受付7,438件10,711件69.4%
苦情解決手続の新規受付3,485件5,040件69.1%
紛争解決手続の新規受付314件807件38.9%

出所: 日本損害保険協会「そんぽADRセンター統計号 2025年度第4四半期」。保険種類別は1件に複数の種類が含まれると重複して数えています(統計号の注)。

申し出の多い中身は「提示内容」と「説明不足」

苦情解決手続(全保険種類)の申出内容では、提示内容が20.1%、説明不足等が19.5%、手続遅延等が17.5%でした。接客態度は15.6%、支払可否は10.3%です。

苦情の局面で見ると、保険金支払が83.4%を占めます(2025年度)。外部に持ち込まれる苦情は、契約のときより事故の後に集まっているのがわかります。

保険会社とのトラブルが解決しないときの流れ

  • 保険会社の対応に納得できない
  • 1保険会社の相談窓口まず契約先の窓口に申し出る
  • 2そんぽADRセンターの苦情解決手続センターが保険会社に苦情を伝え、話し合いでの解決を支援する
  • 3紛争解決手続解決しないとき、中立の紛争解決委員が和解案を示す

図:日本損害保険協会「そんぽADRセンター」の案内から整理。

ランキングを見る前に自分で確かめる4つの数字

ワーストランキングを見つけたら、順位の根拠になった数字を自分で開いて確かめるのが確実です。見る数字は4つで足ります。

  1. 苦情件数の年度(年度か暦年か、いつの数字か)
  2. 苦情の定義(不満の表明を全部か、外部機関への申し出だけか)
  3. 苦情の内訳(保険金に関するものは何件か)
  4. 同じ年度の正味収入保険料(決算概要やディスクロージャー誌)

苦情件数が載っているのは、各社のサイトの「お客さまの声」「苦情受付状況」のページです。保険料は「決算概要」や「〇〇の現状」というディスクロージャー誌で確かめられます。

公表している会社ほど不利に見える

苦情を細かく数えて公表するほど、件数は大きく見えてしまいます。件数が大きいことと、公表の範囲が広いことは、同じ数字に混ざっているのが実情です。

選ぶときは、苦情の順位より、自分が使う補償と事故対応の体制を見るほうが判断に直結します。通販型と代理店型の違いは通販型と代理店型の自動車保険どっちがいい?にまとめています。

よくある質問

Q1:入ってはいけない自動車保険はありますか?

公表データからは、どこが「入ってはいけない」とは言えません。苦情件数は会社ごとに定義が違い、規模で割ると差が縮むためです。2025年度の3社では、保険金の苦情を保険料1億円あたりに直した差は約1.5倍でした。

Q2:苦情件数が多い保険会社は避けたほうがいいですか?

件数だけで避ける必要はありません。苦情を広く数えて公表する会社ほど件数は大きく出ます。比べるなら、同じ年度の正味収入保険料で割り、保険金に関する苦情の件数を見てください。

Q3:自動車保険の苦情はどれくらいありますか?

そんぽADRセンターが2025年度に受け付けた苦情のうち、自動車保険は7,438件で全体の69.4%でした(重複計上あり)。苦情解決手続の新規受付も、自動車は3,485件で69.1%を占めています。

Q4:保険会社の苦情件数はどこで見られますか?

各社のサイトの「お客さまの声」「苦情受付状況」のページです。ソニー損保と三井ダイレクト損保は四半期ごと、SOMPOダイレクトは年度ごと、アクサ損保は暦年の四半期ごとに公表しています(2026年10月19日確認)。

Q5:保険会社と揉めたときは、どこに相談できますか?

最初の相談先は、契約先の保険会社の窓口です。解決しないときは、日本損害保険協会のそんぽADRセンターに苦情を申し出られます。センターは保険会社に苦情を伝えて話し合いを支援し、それでも解決しなければ紛争解決手続で和解案を示します。

Q6:口コミの評判が悪い会社は事故対応も悪いですか?

口コミだけでは決められません。書き込む人は偏りやすく、投稿の少ない会社は数件で印象が変わるからです。事故対応を見るなら、各社が公表する保険金に関する苦情の件数と内訳のほうが確かな手がかりです。

参考にした一次資料

まとめ:ワーストの順位より、数字の中身を見る

自動車保険のワーストランキングは、何を数えたかで順位が決まります。苦情件数は会社ごとに定義が違い、規模が大きいほど増えるので、そのまま並べると実態より差が大きく見えます。

2025年度の3社で計算すると、苦情件数の差は保険料1億円あたりで約6倍、保険金の苦情に絞ると約1.5倍でした。ランキングを見たら、年度・定義・内訳・保険料の4つを開いて確かめてください。

この記事のまとめ

  • ワーストランキングの材料は口コミ・苦情件数・満足度調査の3つ
  • 苦情の定義は会社ごとに違い、アクサ損保はVOCと苦情を分けて数える
  • ソニー損保とSOMPOダイレクトの差は件数で約15.7倍、1億円あたりで約6.1倍
  • 保険金の苦情に絞ると差は約1.5倍まで縮む
  • そんぽADRセンターの苦情の69.4%は自動車保険(2025年度)
  • 比べるときは年度・定義・内訳・正味収入保険料をそろえる

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免責事項

※本記事は、ソニー損保・三井ダイレクト損保・SOMPOダイレクト・アクサ損保・日本損害保険協会の公表資料をもとにした整理です(2026年10月19日確認)。苦情件数の定義・集計期間は会社ごとに異なり、本記事の1億円あたりの値は各社の公表値から計算した参考値です。会社の良し悪しを判定するものではありません。

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この記事を書いた人

家族でヴォクシーに乗っている、ごく普通の会社員のSaitoです。きっかけは、夜の高速道路で追突された事故でした。保険会社のフリーダイヤルに、15分間つながらなかった。あの時間の長さで、保険は契約書のスペックではなく、いざという場面での対応力で選ぶものだと痛感しました。

それから、主要な自動車保険を10社以上、実際に契約しては乗り換えて、対応を比べてきました。CMで見る「満足度が高い」という数字と、夜間のオペレーターやレッカー手配の速さは、必ずしも一致しません。このサイトでは、事故対応やロードサービス、弁護士特約の使いどころなど、カタログでは分からない部分を、家族を持つドライバーの目線でまとめています。

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