台風・大雨・洪水・高潮で車が水没したときは、車両保険で補償されます。使うと翌年の等級は1つ下がり、事故有係数適用期間が1年加算されます。地震・噴火・津波による水没は車両保険の対象外で、特約を付けていないと補償されません。
この記事でわかること
- 水没が補償されるかを決める原因の違い(台風・洪水と、地震・津波)
- 水没で車両保険を使ったときの等級の下がり方
- 全損になったときに受け取れる額の計算例
- 水が引いたあとに自分でエンジンをかけてはいけない理由
- 台風の前に証券で確かめること
一次資料: 三井住友海上「水害・水没は車両保険で補償される?」(参照)/ソニー損保「洪水で車が水没した。」(参照)/国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」(参照)
先に結論から
水没の補償は、車両保険に入っているかと、水没の原因が何かの2つで決まります。台風や洪水なら車両保険の対象で、地震や津波なら特約がない限り対象外です。
対人・対物の賠償や人身傷害は、自分の車の損害を払うものではありません。水没した自分の車の修理や買い替えに使えるのは、車両保険だけです。
この記事が扱う範囲
水没が補償されるかは原因で決まる
台風・竜巻・洪水・高潮による水没は、車両保険の補償の対象です。地震・噴火と、それによる津波の水没は車両保険では補償されず、専用の特約が要ります。
水没の原因別の補償と等級(2026年10月時点)
| 水没の原因 | 車両保険で補償されるか | 使ったときの等級 |
|---|---|---|
| 台風・大雨・洪水・高潮 | 補償される | 翌年1等級ダウン+事故有係数適用期間1年加算 |
| 地震・噴火・津波 | 補償されない | ― |
| 地震・噴火・津波(特約あり) | 特約の定額が支払われる | 等級・保険料に影響しない(三井住友海上) |
| 車両保険に入っていない | 補償されない | ― |
出所: 三井住友海上「水害・水没は車両保険で補償される?」(台風・竜巻・洪水・高潮は1等級ダウンと事故有係数・地震・噴火・津波「車両全損時定額払」特約)、ソニー損保「洪水で車が水没した。」(地震が原因の津波は対象外)。
水没の補償は「車両保険の有無」と「原因」で分かれる
- 車が水没した
- 車両保険なし自分の車の修理・買い替えは補償されない
- 台風・大雨・洪水・高潮車両保険で補償。翌年は1等級ダウン
- 地震・噴火・津波車両保険の対象外。特約があれば定額が出て、等級は下がらない(三井住友海上)
図:三井住友海上・ソニー損保の公式解説から整理。補償の範囲は契約の約款で決まる。
エコノミー型でも洪水は補償される会社が多い
車両保険の型は、補償の広い一般型と、範囲をしぼったエコノミー型に分かれます。ソニー損保の案内では、洪水による水没はエコノミー型でも補償の対象です。
ただ、エコノミー型の範囲は保険会社と契約の時期で違います。台風の前に、自分の証券の「車両保険の種類」と補償の範囲を見ておくと安心です。
津波に備える特約は等級に響かない
三井住友海上の「地震・噴火・津波『車両全損時定額払』特約」は、地震・噴火・津波で車が全損になったときに50万円を支払う特約です。車両保険金額が50万円未満なら、その金額が支払われます。
この特約を使っても、継続契約の等級や保険料には影響しないと三井住友海上は説明しています。海の近くや川沿いに住んでいて津波が心配なら、契約先に同じ種類の特約があるか聞いてみてください。
水没で車両保険を使ったときの等級
台風や洪水の水没で車両保険を使うと、翌年の等級は1つ下がります。あわせて、事故有係数適用期間が1年加算されます。三井住友海上・ソニー損保・SBI損保の公式解説が、そろってこの扱いです。
車両保険を使ったときの等級の下がり方(事故の種類別・2026年10月時点)
| 事故の種類 | 翌年の等級 | 例 |
|---|---|---|
| 台風・洪水・高潮などの自然災害 | 1等級ダウン | 水没・飛来物でへこんだ |
| 車同士の事故・当て逃げなど | 3等級ダウン | 当て逃げで車両保険を使った |
出所: 自然災害の1等級ダウンはSBI損保「台風、大雨、ゲリラ豪雨による損害」・ソニー損保「洪水で車が水没した。」。3等級ダウンの例は当サイトの当て逃げされたら保険はどうなる?。
水害でも「3等級下がる」と書かれた解説を見かけることがあります。台風・洪水・高潮での車両保険は、上の3社とも1等級ダウンで、扱いがはっきり分かれています。
使うか迷ったら、翌年以降の保険料を出してもらう
1等級下がると、事故有係数の分も含めて翌年からの保険料が上がります。修理代が小さいなら、使わずに自分で払うほうが合計で安い場合もあるでしょう。
契約先に連絡するときは、使った場合と使わない場合の翌年以降の保険料を見積もってもらってから決めてください。全損なら受け取る額が大きいので、使う方向で考えるのが自然です。
全損になったときに受け取れる額
水が車内まで入ると、修理できないか、修理代が車両保険金額を超えることがあります。この場合は全損として扱われ、免責金額を引かずに車両保険金額が支払われます(ソニー損保)。
ソニー損保では、全損のときに車両全損時臨時費用として、保険金額の10%(上限20万円)も上乗せされます。臨時費用の有無と割合は会社と契約で違うので、証券の特約欄を確かめます。
全損のときの受け取り額の例(ソニー損保の仕組みで計算・2026年10月時点)
| 車両保険金額 | 支払われる保険金 | 臨時費用(10%・上限20万円) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 80万円 | 80万円 | 8万円 | 88万円 |
| 150万円 | 150万円 | 15万円 | 165万円 |
| 250万円 | 250万円 | 20万円 | 270万円 |
出所: ソニー損保「洪水で車が水没した。」(全損は免責金額を引かず保険金額・車両全損時臨時費用は保険金額の10%で上限20万円)。合計は同社の仕組みで当サイトが計算した値。
修理できる範囲の水没なら、修理費から免責金額を引いた額が支払われる形です。免責金額の決め方は車両保険の免責金額はいくらが最適?が参考になります。
水没したら自分でエンジンをかけない
水が引いて見た目に問題がなくても、自分でエンジンをかけてはいけません。国土交通省は、水に浸った車は感電事故や、電気系統のショートによる車両火災のおそれがあるとしています。
水に浸かった車の扱い(国土交通省の案内)
- 自分でエンジンをかけない
- 使いたいときは、買った販売店か最寄りの整備工場に相談する
- ハイブリッド車・電気自動車は高電圧のバッテリーを積んでいるので、むやみに触らない
- 使うまでの間は、発火を防ぐためバッテリーのマイナス側のターミナルを外し、テープなどで覆う
出所: 国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」。ハイブリッド車・電気自動車の端子の作業も、自分で手を出さず販売店か整備工場に任せるほうが安全です。
保険会社には動かす前に連絡する
エンジンをかけられない車は、レッカーで運ぶことになります。動かす前に契約先へ連絡すると、ロードサービスの手配と保険の受付を一度に進められます。ロードサービスの範囲は自動車保険のロードサービス比較で確かめてください。
水が来た高さがわかる写真を、車の外と車内の両方で撮っておくと、損害の説明がしやすくなるはずです。
冠水した道は走らない
国土交通省は「水深が床面を超えたら、もう危険」として、冠水した道路を走ったときの不具合を注意しています。走れそうに見える深さでも、無理に入らないのがいちばんの備えです。
台風の前に証券で確かめること
水没の補償は、事故のあとで付け足せません。台風の予報が出たら、車両保険の有無と型、特約の欄を先に見ておきます。
台風の前に確かめること
- 車両保険が付いているか(付いていなければ水没の修理は自己負担)
- 車両保険の型と、洪水が補償の範囲に入っているか
- 車両保険金額(全損のときに受け取る上限)
- 全損時の臨時費用や代車の特約が付いているか
- 津波が心配なら、地震・噴火・津波の特約があるか
- 車を高い場所へ移せる駐車場があるか
修理や買い替えの間に車が要るなら、代車の特約も見ておくと安心です。補償の範囲と日数の限度はレンタカー費用特約(代車費用特約)にまとめています。
よくある質問
Q1:台風で車が水没したら自動車保険は使えますか?
車両保険に入っていれば使えます。台風・大雨・洪水・高潮による水没は車両保険の補償の対象です。対人・対物の賠償や人身傷害は自分の車の損害を払わないので、車両保険が付いていないと修理代は自己負担になります。
Q2:水没で車両保険を使うと等級はいくつ下がりますか?
翌年は1等級下がり、事故有係数適用期間が1年加算されます。三井住友海上・ソニー損保・SBI損保が同じ扱いを公式に示しています。車同士の事故などで使ったときの3等級ダウンとは別の扱いです。
Q3:地震や津波で水没した車は補償されますか?
車両保険だけでは補償されません。地震・噴火とそれによる津波は対象外です。三井住友海上には、津波などで全損になったときに50万円を支払う特約があり、使っても等級や保険料に影響しないとしています。
Q4:エコノミー型の車両保険でも水没は補償されますか?
ソニー損保は、洪水による水没はエコノミー型でも補償されると案内しています。ただしエコノミー型の範囲は保険会社と契約の時期で違うので、証券の車両保険の種類と補償の範囲を確かめてください。
Q5:水没して全損になったらいくら受け取れますか?
全損なら免責金額を引かずに、契約した車両保険金額が支払われます(ソニー損保)。同社では保険金額の10%(上限20万円)の臨時費用も加わるので、保険金額150万円なら合計165万円です。臨時費用の扱いは契約ごとに違います。
Q6:水が引いたあと、車のエンジンをかけても大丈夫ですか?
自分でかけてはいけません。国土交通省は、水に浸った車は見た目に問題がなくても、感電や電気系統のショートによる火災のおそれがあるとしています。販売店か整備工場に相談し、使うまではバッテリーのマイナス側のターミナルを外しておきます。
参考にした一次資料
- 三井住友海上「水害・水没は車両保険で補償される?洪水で浸水した場合は?」(台風・竜巻・洪水・高潮は1等級ダウンと事故有係数/地震・噴火・津波「車両全損時定額払」特約は50万円・等級と保険料に影響しない)
- ソニー損保「洪水で車が水没した。水害による水没車は、車両保険の対象?」(エコノミー型でも補償・全損は免責を引かず保険金額・臨時費用10%上限20万円・翌年1等級ダウン・地震が原因の津波は対象外)
- SBI損保「台風、大雨、ゲリラ豪雨による損害」(浸水・土砂も車両保険の対象・等級は1つダウン・事故有係数適用期間1年加算)
- 国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」(自分でエンジンをかけない・販売店か整備工場に相談・HVとEVはむやみに触らない・マイナス側のターミナルを外す)
- 国土交通省「水深が床面を超えたら、もう危険!」(冠水した道路を走ったときの不具合)
まとめ:水没の補償は車両保険と原因で決まる
台風・大雨・洪水・高潮で車が水没したら、車両保険で補償されます。使うと翌年は1等級ダウンで、車同士の事故の3等級ダウンとは扱いが違います。
地震・噴火・津波は車両保険の対象外なので、心配なら特約を確かめておくのが先です。水が引いても自分でエンジンをかけず、販売店か整備工場と保険会社に連絡してください。
この記事のまとめ
- 台風・大雨・洪水・高潮の水没は車両保険の対象
- 使うと翌年1等級ダウン+事故有係数適用期間1年加算
- 地震・噴火・津波は対象外。特約があれば定額が出て、等級は下がらない(三井住友海上)
- 全損は免責を引かず車両保険金額。臨時費用が上乗せされる契約もある
- 水が引いても自分でエンジンをかけない(国土交通省)
- 台風の前に、車両保険の有無・型・保険金額・特約を証券で確かめる
- 車両保険とは|自分の車の修理費を補償する仕組み・一般型とエコノミー型の違い・必要性を整理
- 車両保険金額とは|補償の上限額の決まり方・協定保険価額と時価・年々下がる理由を整理
- 車両保険の免責金額はいくらが最適?|契約者の55.2%が選ぶ設定と0-10万との違い
免責事項
※本記事は、三井住友海上・ソニー損保・SBI損保の公式解説と、国土交通省の公開情報をもとにした整理です(2026年10月時点)。補償の範囲・等級の扱い・特約の内容は保険会社と契約の時期によって異なります。実際の補償は、ご契約の保険証券・約款と保険会社の窓口でご確認ください。

