この記事でわかること
- ノンフリート等級制度の仕組みと、新規加入が「6等級」から始まる理由
- 無事故で「+1」、事故で「-3 or -1」になる等級変動のルール
- 20等級と1等級で保険料がどれだけ変わるか(割引・割増の目安)
- 乗り換え時の等級引き継ぎと、リセットできない理由
- 「事故あり係数」を踏まえた保険を使う・使わないの判断軸
結論を先に書きます
自動車保険の等級は、保険料を左右する最大の割引のモノサシです。新規は6等級から始まり、無事故を1年続けるごとに1つ上がっていきます。
20等級と1等級では、同じ車・同じ補償でも保険料の負担感が大きく変わります。等級は安全運転の実績がそのまま割引として積み上がる仕組み。だからこそ、「事故で保険を使うか・自費で直すか」を等級ダウンのコストまで含めて判断することが家計を守る鍵になります。
- 等級は1〜20の20段階。新規は6等級スタート、無事故で毎年+1
- 3等級ダウン事故と1等級ダウン事故があり、事故の種類で下がり幅が違う
- 下がった等級は他社に乗り換えても引き継がれる(リセット不可)
- 「事故あり係数」があるため、少額修理は保険を使わない方が得になりやすい
自動車保険の「ノンフリート等級制度」とは
自動車保険の等級は、正式にはノンフリート等級別料率制度と呼ばれます。一言でいえば「ドライバーの安全運転の実績をスコア化し、保険料に反映させる仕組み」です。
保険会社は過去の事故実績をもとに、事故リスクが低いと判断した契約者には割引を、リスクが高いと判断した契約者には割増を適用します。個々のリスクに応じて保険料を調整する、合理的な設計になっています。
等級の範囲とスタート地点
ノンフリート等級は、一般的に1等級から20等級までの20段階です。スタート地点と上下の動き方は次の通りです。
- 新規加入時:原則「6等級」からスタート
- 無事故継続:1年ごとに1等級ずつアップ
- 上限:20等級が最高ランク(一部の共済で例外あり)
- 下限:1等級が最低ランク
初めて車を持つ人は、事故リスクが高いと見なされる6等級から始まります。何十年も無事故を続けたドライバーが、最も恩恵の大きい20等級に到達する——そんな階段状の構造です。等級の基本的な考え方は、関連記事の自動車保険の基礎知識もあわせて読むと整理しやすいはずです。
等級ごとの割引率・割増率を比較
「等級が上がれば安くなる」とはいえ、実際にどれほど差が出るのでしょうか。割引・割増率は保険会社や契約条件(年齢条件など)で前後しますが、一般的な目安は次の通りです。
| 等級 | 評価 | 保険料の変動(目安) |
|---|---|---|
| 20等級 | 最高優良 | 約63%割引 |
| 15等級 | 優良 | 約50%割引 |
| 10等級 | 中堅 | 約45%割引 |
| 6等級 | 新規(標準) | 0%(基準) |
| 3等級 | 要注意 | 約12%割増 |
| 1等級 | リスク大 | 約64%割増 |
基準となる保険料が10万円だった場合、20等級なら約3.7万円で済む一方、1等級では約16.4万円の負担になります。同じ車・同じ補償でも、等級が違うだけで負担はここまで開く。年単位で積み上がるため、長い目で見ると差はさらに大きくなります。
等級が「上がるルール」と「下がるルール」
等級の変動は、1年間の事故件数と事故の種類で決まります。ここを理解しておくことが、家計を守る最大のポイントです。
等級が上がるケース(無事故)
1年間、一度も保険を使わずに契約を更新すると、翌年の等級は1つアップします。たとえば6等級で1年間無事故なら、翌年は7等級です。無事故で等級が上がる流れの詳細は自動車保険の等級とは(上がる仕組み)でも解説しています。
等級が下がるケース(事故あり)
事故を起こして保険を使うと、翌年の等級は下がります。下がり方は2パターンです。
- 3等級ダウン事故:他人をケガさせた・他人の車を壊した・自損事故など、最も一般的な事故。翌年は3つダウン
- 1等級ダウン事故:車両盗難・飛び石によるガラス破損・台風や洪水の被害など、自分の責任とは言い難いもの。翌年は1つダウン
「事故あり係数」というペナルティ期間
現在の制度には事故あり係数という概念があります。同じ20等級でも、「ずっと無事故の20等級」と「事故で下がった後に戻ってきた20等級」では、後者の割引率が低く設定されます。
一度3等級ダウン事故を起こすと、3年間はこの事故あり係数を背負い続けることになります。これが「少額の修理なら保険を使わない方が得」と言われる理由です。
- 修理代が10万円以下の場合、自費で直した方が翌年以降3年間の増額分を考えると安く済むケースが多い
- 保険を使う前に、必ず翌年の等級ダウンコストを試算する
3等級ダウンで実際にいくら上がるかは、3等級ダウン事故の3年分シミュレーションで具体的な金額イメージをつかめます。
保険会社の「乗り換え」と等級引き継ぎ
「等級が下がったから、別の保険会社で入り直してリセットしたい」と考える人もいますが、それは事実上できません。
等級は保険会社を超えて引き継がれる
ノンフリート等級は、保険業界全体で共有されている情報です。国内のほとんどの損害保険会社や共済(JA共済、こくみん共済 coop など)の間で、等級データの引き継ぎが可能になっています。
- メリット:高い等級(割引)を持ったまま、より安いダイレクト型へ乗り換えられる
- デメリット:事故で下がった等級(割増)も、逃げられずに引き継がれる
「事故歴を隠して他社で新規(6等級)として契約する」のは、告知義務違反にあたります。業界内のデータ照合で発覚し、保険金の支払い拒否や契約解除という重いリスクがあります。誠実な申告が、結果的に自分を守ります。家族間や住所変更を含む引き継ぎの全パターンは、等級引き継ぎの完全ガイドで確認できます。
生涯の保険料を最小化する3ステップ
等級制度を理解したうえで、今日から取れるアクションは3つです。
- 安全運転を「最大の節約」と捉える
- 保険の「使いどころ」を見極める
- 定期的に保険料を比較する
1. 安全運転を「最大の節約」と捉える
20等級に到達すれば、長期的に大きな固定費削減につながります。事故を起こさないこと自体が、最も確実な保険料対策です。
2. 保険の「使いどころ」を見極める
数万円の小さなキズで安易に保険を使わず、翌年からの等級ダウンコストを計算する習慣をつけましょう。事故あり係数の3年間まで含めて考えるのがコツです。
3. 定期的に保険料を比較する
等級はどの会社でも引き継げますが、基本の保険料は会社によって差があります。等級が高くなったときこそ、同じ割引率でも会社を見直すメリットが大きくなります。
等級制度は、あなたを縛るものではなく、安全運転という努力を割引という形で評価してくれる仕組みです。まずは自分の現在の等級を把握することが、保険料を見直す第一歩になります。
よくある質問
等級制度について、特に質問の多い4つを整理します。
Q1:新規契約は必ず6等級から始まりますか?
原則として6等級スタートです。ただし、すでに別の車で契約がある場合の2台目(セカンドカー割引)では7等級から始められることがあります。また、過去に契約していて中断証明書を持っている場合は、以前の等級を引き継いで再開できるケースもあります。
Q2:等級をリセットして6等級に戻すことはできますか?
低い等級から逃げる目的でのリセットはできません。事故で下がった等級は他社に乗り換えても引き継がれます。一方で、廃車・海外転勤などで一定期間車に乗らない場合は「中断証明書」を取得すれば、高い等級を保ったまま将来再開できます。リセットされる具体的なケースは等級がリセットされる3つのケースで解説しています。
Q3:少額の事故でも保険を使った方がいいですか?
一概には言えません。修理代が10万円以下の場合は、自費で直した方が翌年以降3年間の保険料増額分を考えると安く済むことが多いです。保険を使う前に、等級ダウン後の保険料を試算してから判断するのがおすすめです。
Q4:家族に等級を引き継ぐことはできますか?
可能です。同居の親族(配偶者・1親等など)であれば、高い等級を家族に引き継ぐことができます。たとえば親が20等級を子へ譲り、親自身は新規6等級で入り直す、といった使い方です。条件や手続きの細かい点は等級引き継ぎの完全ガイドを確認してください。
まとめ:等級は努力が積み上がる割引制度
自動車保険の等級制度を、最後に要点で整理します。
- 等級は1〜20の20段階。新規6等級スタートで、無事故なら毎年+1
- 20等級と1等級では保険料の負担が大きく変わる
- 事故は3等級ダウン/1等級ダウンの2種類で、種類により下がり幅が違う
- 下がった等級は乗り換えても引き継がれる(リセット不可)
- 「事故あり係数」があるため、少額修理は自費の方が得になりやすい
- 高い等級に達したら、定期的な保険料の比較でさらに固定費を抑えられる
等級は、安全運転という努力が割引として積み上がる仕組みです。仕組みを正しく理解し、保険の使いどころを見極めることが、生涯の保険料を抑える一番の近道になります。
関連記事
免責事項
※本記事は自動車保険の公開情報をもとにした整理です。割引率・等級ルールは保険会社や契約条件により異なります。保険商品の最終的な契約・申込の判断は、各社の約款・重要事項説明書および公式サイトの最新情報をご確認のうえ行ってください。

