車検に通らない理由の大半は、タイヤの溝1.6mm未満・前面ガラスの透過率70%未満・灯火の色・排ガス・マフラー・警告灯の点灯など、保安基準の条文で線が引かれた項目に当てはまることです。不合格でも当日2回まで再入場でき、直らなければ限定自動車検査証(有効期間15日)で再検査を受けられます。手数料は2,100円です。
この記事でわかること
- 車検に通らない理由の3分類(保安基準の不適合・書類と納税・電子装置)と、不合格になると車検証が戻らない仕組み(道路運送車両法62条)
- タイヤ溝1.6mm・ガラス透過率70%・前照灯の色・排ガスCO1%/HC300ppm・マフラー・最低地上高9cmを、細目告示の条文番号つきで
- エンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSの警告灯が落ちる根拠(審査事務規程)と、2024年10月に始まったOBD検査の対象車・判定の仕組み
- 不合格になった当日の再入場2回、限定自動車検査証の15日、走ってよい範囲、2026年4月改定後の再検査手数料2,100円と継続検査やり直し2,600円
- 直せない・費用が見合わないときの出口4つ(置く・一時抹消・売る・廃車)と、自動車税を止める順番
- 受ける前日に自分で見られる項目と、工場のテスターでしか測れない項目の切り分け
一次資料: e-Gov法令検索「道路運送車両法」(参照)/国土交通省「道路運送車両の保安基準・細目告示」(参照)/自動車技術総合機構「再入場(不適合の場合)」(参照)/同「自動車検査手数料について」(参照)/国土交通省「OBD検査とは?(ユーザー向け)」(参照)
先に結論から
車検に通らない項目は、保安基準と細目告示に線が書いてあります。タイヤの溝は1.6mm以上、前面ガラスの可視光線透過率は70%以上、前照灯は白色、最低地上高は9cm以上といった具合です。線を知っていれば、落ちる前に自分で直せる項目が半分あります。
警告灯の点灯も不合格の項目で、2024年10月からはOBD検査が加わりました。エンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSの警告灯が点いたままだと、その装置が基準に合わないものとして扱われます。OBD検査の対象車だと、警告灯が消えていても故障コードで落ちるのが厄介なところです。
不合格になっても、その日のうちに2回まで再入場できるので、直らなければ限定自動車検査証(有効期間15日)をもらって不適合の箇所だけを再検査する流れです。手数料は2,100円です(2026年4月1日以降・普通車、小型車、軽自動車とも)。15日を過ぎると全部やり直しで2,600円かかります。
この記事が扱う範囲
- 扱うのは継続検査(いわゆる車検)で不合格になる項目と、不合格になった後の流れです。基準の数値は保安基準の細目告示と自動車技術総合機構の審査事務規程から引き、手数料は2026年4月1日改定後の一覧表で確認しています
- 車検が切れたときの罰則・仮ナンバー・満了日の2か月前から受けられる改正は車検が切れたらどうなる?、法定費用と車検基本料の内訳は「車検費用の内訳は3つ」、廃車の手続きそのものは車の廃車手続きのやり方が本体です
- 基準の数値は年式で例外があります(2005年12月31日以前製作の前照灯は淡黄色も可、古い車の排ガス値は緩い、など)。本文は現行の乗用車を基準に書き、年式の例外は該当する箇所で触れています
車検に通らないとは|保安基準に不適合と判定され、車検証が戻らない状態
車検に通らないとは、継続検査で保安基準に適合しないと判定され、有効期間を記録した車検証が返ってこない状態です。道路運送車両法62条2項は、適合しないと認めるときは「自動車検査証を当該自動車の使用者に返付しない」と定めています。
だから不合格になると、検査に出した車検証は手元に戻りません。代わりに受け取るのが限定自動車検査証です。この流れは4章で書きます。
落ちる理由は3つに分かれます。検査コースで見つかる保安基準の不適合が本体で、受付で止まる書類と納税、そして2024年10月から拡大した電子装置の検査です。
車検に通らない理由の3分類(道路運送車両法・保安基準・2026年9月時点)
| 分類 | 何で止まるか | 代表例 | この記事で扱う章 |
|---|---|---|---|
| ①保安基準の不適合 | 検査コースの視認・テスター | タイヤの溝、灯火の色、ガラスのフィルムとひび、排ガス、マフラー、車高、警音器、発炎筒 | 2章 |
| ②書類・納税・自賠責 | 受付窓口 | 自賠責の期間が新しい有効期間に足りない、自動車税の納税確認が取れない、車検証と現車の相違 | 本章の末尾 |
| ③電子装置 | 警告灯の視認・OBD検査用スキャンツール | エンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSの警告灯の点灯、特定DTC(故障コード)の検出 | 3章 |
出所: e-Gov法令検索「道路運送車両法」第62条・国土交通省「道路運送車両の保安基準(2026年3月31日現在)」・国土交通省「OBD検査とは?(ユーザー向け)」
②は検査コースに入る前の話です。自賠責は新しい車検の有効期間を1日以上超えて残っている必要があり、実務では24か月の車検に25か月の自賠責を付けます。自動車税は2015年4月から電子で納税確認されるので、納めていれば紙は不要です。納め方と延滞金は自動車税の納付はいつまで?に書いています。
車検に通らない理由は、どこで止まるかで3つに分かれる
- 車検に通らない
- 受付で止まる自賠責の期間不足・自動車税の納税確認・車検証と現車の相違。コースに入る前に直せる
- 検査コースで落ちる保安基準の不適合。タイヤ溝1.6mm・透過率70%・灯火の色・排ガス・マフラー・地上高9cmなど条文で線が決まっている
- 電子装置で落ちる警告灯の継続点灯(審査事務規程)と、OBD検査対象車の特定DTC(2024年10月〜)
図:不合格の大半は検査コースの項目。受付の2つは受ける前に片づく。
車検に通らない基準を条文で読む|タイヤ・灯火・ガラス・排ガス・マフラー・車高の線
不合格になる線は、保安基準(省令)の各条が「告示で定める基準」と書き、細目告示がその数値を持っています。使用の過程にある車に適用されるのは、細目告示の第163条以降です。検査場の判定手順は自動車技術総合機構の審査事務規程に書かれています。
車検に通らない主な項目と条文の線(細目告示・審査事務規程・2026年9月時点・乗用車の現行基準)
| 項目 | 不合格になる線 | 根拠 | 直し方の目安 |
|---|---|---|---|
| タイヤの溝 | 接地部の全幅で溝の深さが1.6mm未満(二輪は0.8mm)。スリップサイン(ウエア・インジケータ)で判定してよい | 細目告示167条4項2号 | 交換 |
| タイヤの損傷・空気圧 | 亀裂、コード層の露出などの著しい破損。空気圧が適正でない | 細目告示167条4項3号・4号 | 交換・調整 |
| はみ出しタイヤ | 車軸中心から前方30°〜後方50°の範囲で、タイヤやホイールがフェンダーより外に出る。乗用車はタイヤのサイドウォールの文字・保護帯・リブが10mm未満なら可(ホイールは不可) | 細目告示178条2項 | ホイール・タイヤの交換、フェンダー |
| 前照灯 | 白色でない(2005年12月31日以前製作は淡黄色も可、全灯同色)。灯器の損傷、レンズの著しい汚損、取付部の緩み、右側通行用の配光 | 細目告示198条・審査事務規程8-66 | バルブ交換、レンズ磨き、光軸調整 |
| 方向指示器 | 橙色でない。点滅が毎分60〜120回の範囲を外れる | 細目告示215条 | バルブ・リレー交換 |
| 制動灯 | 赤色でない | 細目告示212条 | バルブ交換 |
| 窓ガラス | 前面ガラスと運転席の側面ガラスの可視光線透過率が70%未満。亀裂があれば「損傷あり」として視野を妨げるか個別判定 | 細目告示195条3項・審査事務規程8-54 | フィルム除去、ガラス交換 |
| ガラスの貼り物 | 検査標章・保険標章など決められたもの以外を前面・側面に貼る。ドラレコやETCアンテナは上縁20%以内・下縁150mm以内・ルームミラー裏だけ | 細目告示195条5項・審査事務規程8-55 | 剥がす、位置を移す |
| 排ガス | ガソリン4サイクル車でCO1%超またはHC300ppm超(4サイクルの軽自動車はCO2%・HC500ppm) | 細目告示197条1項1号 | 点火系・O2センサー・触媒の整備 |
| マフラー | 消音器の取り外し・切断・内部の騒音低減機構の除去・破損や腐食。交換品は純正表示か性能等確認済表示が要る。近接排気騒音は新車時の値+5dBまで(相対値規制) | 細目告示196条1項・2項 | 純正戻し、表示のある製品 |
| 最低地上高 | 車高を下げる改造をした車は、空車状態で地上高9cm未満(アンダーカバー等で保護された部位は5cm)。樹脂製のエアロは測定から除く | 細目告示163条 | 車高を戻す |
| 警音器 | 前方7mで87dB未満または112dB超。断続音や音色が変わるもの | 細目告示219条 | 交換 |
| 非常信号用具 | 発炎筒またはLED非常信号灯を備えていない。夜間200mから確認できる赤色でない | 細目告示220条 | 購入して車内に置く |
出所: 細目告示 第167条(走行装置)・第178条(車枠及び車体)・第198条(前照灯等)・第215条(方向指示器)・第212条(制動灯)・第195条(窓ガラス)・第197条(排出ガス)・第196条(騒音防止装置)・第163条(最低地上高)・第219条(警音器)・第220条(非常信号用具)・自動車技術総合機構「審査事務規程」第8章
表の中で、受ける前に自分で確かめられるのはタイヤ・灯火の色・ガラスの貼り物・発炎筒です。排ガスの濃度、光軸、騒音はテスターが要るので、工場に見てもらうしかありません。
タイヤで車検に通らないのは「溝1.6mm」「ひび」「はみ出し」の3つ
溝の線は、細目告示167条4項2号にはっきり書いてあります。接地部の全幅にわたって、溝のどの部分も1.6mm以上の深さが要ります。1か所でもスリップサインが出ていれば、その時点で不適合です。
溝が残っていても、サイドウォールの亀裂やコード層の露出があれば落ちます(同項3号)。空気圧が適正でないことも同じ号で挙げられています。古いタイヤのひび割れは、溝より先に見つかることが多い項目です。
はみ出しは178条2項です。車軸中心から前方30°、後方50°の範囲で、タイヤやホイールがフェンダーより外に出ていると不適合になります。乗用車に限り、タイヤのサイドウォールの文字や保護帯が10mm未満はみ出すのは認められています。ホイールのはみ出しは認められていません。
前照灯とウインカーは「色」と「壊れていないか」で落ちる
前照灯の色は白色です(細目告示198条2項3号)。2005年12月31日以前に製作された車は淡黄色も認められますが、同時に点く前照灯はすべて同じ色である必要があります(審査事務規程7-66-9)。青みの強いバルブは、白色と判定されないことがあります。
そのほか、灯器の損傷、レンズの著しい汚損、取付部の緩みやがたも不適合です(198条2項4号・5号)。黄ばんだレンズは光が散って光量が落ちるので、磨いてから受けます。光軸のずれは自分では測れないため、テスター屋か工場で合わせます。
方向指示器は橙色で、毎分60〜120回の一定周期で点滅することが条件です(215条)。LEDに替えて点滅が速くなった車は、ここで落ちます。制動灯は赤色です(212条)。
ガラスは「透過率70%」「ひび」「貼り物の位置」
前面ガラスと運転席の側面ガラスは、可視光線透過率70%以上が条件です(195条3項2号)。後席の側面ガラスとリアガラスは対象外なので、後ろの濃いフィルムは問題になりません。前面と運転席側は、透明に近いフィルムでもガラスと合わせて70%を切ることがあるので、貼る前に測ってもらうのが確実です。
ひびは、審査事務規程8-54-1(3)で「亀裂が確認できるものは損傷等のあるもの」と扱われます。ひびがあると「損傷なし」の自動合格から外れ、運転者の視野を妨げるかを検査官が個別に判定します。小さな飛び石でも、位置によっては通りません。
貼り物は8-55-1で決まっています。前面ガラスに貼ってよいのは検査標章や保険標章などの決められた標章と、ドラレコ・ETCアンテナ・雨滴センサーなどの機器です。機器は前面ガラスの上縁から20%以内、下縁から150mm以内、ルームミラーの裏のどれかに収めます。真ん中に貼ったドラレコは、位置を移すだけで通ります。
排ガスとマフラーは「濃度」「消音器の状態」「表示」
ガソリンの4サイクル車は、アイドリングでのCO(一酸化炭素)が1%以下、HC(炭化水素)が300ppm以下です(197条1項1号)。4サイクルの軽自動車はCO2%・HC500ppmです。年式の古い車には緩い値が適用されますが、現行の乗用車はこの線で測られます。
マフラーは3段階で見られます。まず消音器の取り外し・切断・内部の除去・破損や腐食があれば不適合です(196条2項)。次に、交換したマフラーには自動車メーカーの純正表示か、JQRなどの性能等確認済表示が要ります(審査事務規程8-56)。表示のない製品は、それだけで通りません。
音量は近接排気騒音で測ります。2016年10月1日以降の新型車(それ以外は2021年9月1日以降)は相対値規制で、新車のときの測定値+5dBが上限です(196条1項3号ロ・国土交通省「自動車騒音規制の推移」)。それより前の車は年式ごとの絶対値で判定されます。
車高・改造・そのほかの装備
車高を下げる改造をした車は、空車状態で地上高を測り、9cm以上が要ります(163条)。アンダーカバーなどで保護された部位は5cm以上と読み替えます。樹脂製のエアダムやマッドガードは測定から除かれるので、樹脂エアロが低いだけなら落ちません。
警音器は前方7mで87〜112dBの範囲で、音が連続し、音色が一定であることが条件です(219条)。非常信号用具は発炎筒かLED非常信号灯を車内に備えることが条件で、夜間200mから確認できる赤色でなければなりません(220条)。発炎筒を持っていない、期限が切れて性能が落ちている、というのは受付前に直せます。
警告灯とOBD検査で車検に通らない|2024年10月から故障コードでも落ちる
メーターの警告灯は、点いたままだとその装置が保安基準に適合しないものとして扱われます。根拠は自動車技術総合機構の審査事務規程で、装置ごとに「テルテールの識別表示のうち、次に掲げる表示が継続して点灯しているもの」は基準に適合しない、と書かれています。
車検で不適合になる警告灯と根拠(審査事務規程 第8章・2026年9月時点)
| 警告灯 | 装置 | 根拠 | 意味 |
|---|---|---|---|
| エンジン警告灯 | 原動機及び動力伝達装置 | 審査事務規程8-9 | 排出ガス関連やセンサーの異常。点いたまま受けると原動機が基準不適合 |
| エアバッグ警告灯 | かじ取装置(運転者に対する衝撃緩和) | 審査事務規程8-13(細目告示169条2項) | 前方・側方エアバッグの回路異常 |
| ブレーキ警告灯 | 乗用車の制動装置 | 審査事務規程8-16 | 液量低下・パッド摩耗・パーキングブレーキ戻し忘れ |
| ABS警告灯 | 乗用車の制動装置 | 審査事務規程8-16 | ABSのセンサー・ユニット異常 |
出所: 自動車技術総合機構「審査事務規程」8-9(原動機及び動力伝達装置)・8-13(かじ取装置)・8-16(乗用車の制動装置)
パーキングブレーキを戻し忘れてブレーキ警告灯が点いているだけなら、戻せば消えます。エンジンやエアバッグの警告灯は、原因の部品を直さないと消えません。電球を抜いて消しても、次の節のOBD検査対象車は故障コードで判定されます。
OBD検査の対象車と判定の仕組み
2024年10月1日から、車検の項目に「電子装置の検査(OBD検査)」が加わりました(国土交通省・2024年9月4日プレス)。輸入車は2025年10月1日からです。検査用スキャンツールを運転席下のコネクタにつなぎ、保安基準不適合となる故障コード(特定DTC)があるかを読み取ります。
OBD検査の対象と判定(国土交通省「OBD検査とは?(ユーザー向け)」・2026年9月時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象車 | 2021年10月1日以降の新型車(輸入車は2022年10月1日以降)。車検証の備考欄に「OBD検査対象」と書かれている |
| 対象外の期間 | 型式指定の日から2年、かつ初度登録から10か月が経過するまでは検査しない |
| 対象の装置 | 運転支援装置(自動ブレーキなど)・自動運行装置・排出ガス抑制装置 |
| 判定 | 特定DTCが検出されたら不合格。修理しなければ車検に合格しない |
| 受ける前の注意 | ドライブレコーダーなどをコネクタにつないでいる場合は事前に外す |
出所: 国土交通省「OBD検査とは?(ユーザー向け)」・国土交通省「10月より、車検の項目に電子装置の検査(OBD検査)が追加されます」(2024年9月4日・PDF)
警告灯との違いは、判定の材料です。警告灯は目で見て「点いているか」を見ますが、OBD検査は車のコンピュータに残った故障コードを読みます。警告灯が消えていても特定DTCが残っていれば不合格になり、逆に特定DTC以外のコードは合否に関係しません。
対象でない車は、車検証に「OBD検査対象」の記載がないので、この検査は受けません。今の車がどちらかは、車検証の備考欄を見れば分かります。
警告灯が点いている車が車検に通るかは、3つの順で決まる
- メーターに警告灯が点いたまま。車検に通る?
- 1エンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSのどれかかこの4つは審査事務規程8-9・8-13・8-16で「継続して点灯」が不適合。シートベルトや半ドアの表示は対象の条文がない
- 2原因を直して消えるかパーキングブレーキの戻し忘れは戻せば消える。センサーやユニットの異常は部品を直すまで消えない
- 3車検証に「OBD検査対象」があるかあれば警告灯が消えていても特定DTCで判定。型式指定から2年かつ初度登録10か月までは対象外
図:警告灯を隠しても、対象車は故障コードで落ちる。直してから受ける。
車検に通らなかったらどうなる|当日2回まで再入場・限定自動車検査証15日・再検査の手数料
不合格になっても、その場で終わりではありません。当日の審査時間内なら、不適合の箇所だけを2回まで再検査してもらえます(自動車技術総合機構「再入場(不適合の場合)」)。初回を含めて3回までに適合しなければ、再申請して手数料を払い直します。
当日に直せない場合は、検査官に伝えて限定自動車検査証を受け取ってください。道路運送車両法71条の2は、継続検査で不適合と認めた場合に、使用を停止する必要があるときを除いて限定自動車検査証を交付すると定めています。有効期間は15日です(同条3項)。
車検に通らなかった後の流れと手数料(自動車技術総合機構・2026年4月1日以降の額)
| 段階 | 何をするか | 検査手数料(普通車/小型車/軽自動車) | 期限 |
|---|---|---|---|
| 当日の再入場 | 不適合箇所を直して同じ日にコースへ戻る。2回まで | 0円(初回の申請に含まれる) | 当日の審査時間内 |
| 限定自動車検査証で持ち込み再検査 | 認証工場か自分で直し、運輸支局・軽自動車検査協会に持ち込んで不適合箇所だけ審査。予約不要 | 2,100円/2,100円/2,100円 | 発行日を入れて15日以内 |
| 限定保安基準適合証を提出 | 指定整備工場で直して限定保安基準適合証を発行してもらい、書類だけ提出。現車の持ち込み不要 | 1,900円/1,900円/1,900円 | 同上 |
| 15日を過ぎた | 継続検査を最初からやり直す(全項目) | 2,600円/2,500円/2,500円 | なし。ただし車検が切れると公道を走れない |
出所: 自動車技術総合機構「令和8年4月1日以降の自動車検査手続きに関する手数料一覧」(PDF)継続検査の欄・同「再入場(不適合の場合)」。手数料は国(軽は軽自動車検査協会)と機構の合計額。整備代は別
手数料は2026年4月1日に上がりました。限定自動車検査証での持ち込みは、改定前の1,800円から2,100円になっています。ネットの記事に残る1,300円や1,700円は、さらに前の額です。
限定自動車検査証で走れるのは「整備と再検査のため」だけ
限定自動車検査証を持っていれば、15日間は自由に乗れると思われがちです。条文を読むと、そうは書かれていません。71条の2第4項は、不適合部分の整備のため、または継続検査の申請のために運行する場合に限って、限定自動車検査証を車検証とみなすと定めています。
もう1つの条件は、この扱いが「継続検査の申請の際に提出した車検証の有効期間内」に限られることです。自動車技術総合機構も「車検証の有効期間を超えて運行することはできません」と注意しています。満了日の直前に受けて落ちた車は、限定自動車検査証があっても満了日を過ぎたら走れません。
そうなると、検査場までは仮ナンバーか積載車です。仮ナンバーの取り方と、切れた後に受けた車検の有効期間の起算日は車検が切れたらどうなる?に書いています。落ちる余裕を見るなら、満了日の2か月前から受けられる改正を使って早めに受けます。
15日を過ぎたら全項目のやり直し
限定自動車検査証の有効期間内に再申請しないと、不適合箇所だけの再検査はできません。改めて全項目の審査を受け、普通車で2,600円を払います。限定自動車検査証は、車検証に記録された長さ・幅・高さなどの構造等に変更があったときも効力を失います(71条の2第6項)。
車検に通らなかった日から、手数料と期限はこう進む
- 検査コースで不適合になった
- 1当日に直せるか直せるなら再入場(2回まで・追加手数料なし)。車検証は適合するまで返ってこない(法62条2項)
- 2限定自動車検査証を受け取る有効期間15日。走れるのは整備と再検査のためだけで、元の車検証の満了日を超えられない
- 315日以内に再検査持ち込み2,100円/指定工場の限定保安基準適合証なら1,900円。不適合箇所だけを審査
- 415日を過ぎた全項目やり直しで普通車2,600円。満了日も過ぎていれば仮ナンバーか積載車で持ち込む
図:15日と満了日の2つの期限を同時に見る。早く受けるほど選べる道が残る。
直せない・費用が見合わないときの出口|置く・一時抹消・売る・廃車の4つ
15日で直らない、あるいは修理代が車の値段を超えるなら、車検を諦める選択があります。出口は4つで、違いは自動車税が止まるか、車が手元に残るか、お金が戻るかの3点です。
車検に通らない車の出口4つの比較(道路運送車両法・地方税法・2026年9月時点)
| 出口 | 手続き | 自動車税 | 自賠責・重量税 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 乗らずに置く | なし。車検切れのまま保管 | 毎年かかり続ける | 自賠責は解約できるが、乗るときに入り直す | 数か月以内に直して再車検する人 |
| 一時抹消登録 | 運輸支局でナンバーを返す(普通車500円) | 抹消の翌月分から月割で戻る | 自賠責は解約可。重量税は戻らない | 直す予定はあるが時期が決まらない人、長期の保管 |
| 売却・買取 | 買取業者か個人へ。名義変更は買い手側 | 名義変更の翌年度から新所有者 | 自賠責は残期間を精算 | 車検切れでも値が付く車、修理代が車の価値を超える人 |
| 廃車(永久抹消・解体) | 解体業者に引き渡し、解体後に永久抹消登録 | 抹消の翌月分から月割で戻る | 重量税が残期間分戻る(同時申請のみ) | 値が付かない車、二度と乗らない車 |
出所: 道路運送車両法第15条・第16条・車の一時抹消登録とは・車の廃車手続きのやり方(各手続きの一次資料はそれぞれの記事に記載)
置いておくだけなら罰則はありませんが、自動車税は止まりません。半年以上迷うなら、先に一時抹消して税を止めるほうが損が小さくなります。手順と費用は車の一時抹消登録とはに書きました。
売る場合、車検が切れていても買取は成立するので、落ちた項目を直してから売るか、そのまま売るかは修理代と査定の差で決めることになります。売る側の書類と名義変更の確認は車の売却手続きの流れ、値が付くかどうかの分かれ目は「廃車買取は無料か有料か」で確かめられます。
廃車にするなら、解体が終わってから永久抹消登録をする順番です。自動車重量税は残期間分が戻りますが、永久抹消登録と同時に申請したときだけです。必要書類・費用・還付の計算は車の廃車手続きのやり方が本体なので、ここでは繰り返しません。
車検に通らない車にしないために|前日に自分で見る7項目と、工場でしか測れない3項目
落ちる項目の半分は、受ける前に目で確かめられます。残りはテスターがないと分からないので、自分で見るものと工場に任せるものを分けておくと、当日の再入場で慌てません。
受ける前の切り分け(本文2〜3章の基準から整理・2026年9月時点)
| 自分で確かめられる項目 | 見るところ | 工場・テスターが要る項目 | 理由 |
|---|---|---|---|
| タイヤ | スリップサイン、ひび、空気圧、フェンダーからのはみ出し | 光軸・光量 | ヘッドライトテスターで測る |
| 灯火 | 前照灯が白色か、ウインカーが橙色で点滅速度が普通か、ブレーキランプが全部点くか | 排ガス濃度 | CO・HCの測定器が要る |
| ガラス | フィルムの有無、ひび、ドラレコ・ETCの位置(上縁20%・下縁150mm・ミラー裏) | 騒音 | 近接排気騒音の測定 |
| 警告灯 | エンジン始動後にエンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSが消えるか | ||
| コネクタ | 運転席下のOBDコネクタからドラレコなどを外す | ||
| 発炎筒 | 車内にあるか、有効期限 | ||
| 書類 | 自賠責が新しい有効期間を全部カバーしているか、自動車税を納めたか |
前照灯の光軸と排ガスは、ユーザー車検で落ちる代表です。検査場の近くにある予備検査場(テスター屋)で合わせられます。工場に頼む車検なら、工場が検査の前に測っています。
もう1つ効くのが受ける時期です。2025年4月1日から、満了日の2か月前に受けても次の満了日は変わりません。早めに受ければ、落ちても限定自動車検査証の15日を満了日の中に収められます。この改正の詳細は車検が切れたらどうなる?に書いています。
よくある質問
Q1:車検に通らない理由で多いものは何ですか?
タイヤの溝とひび、前照灯の光量と光軸、ガラスのフィルムとドラレコの位置、排ガス、マフラーの表示、警告灯の点灯です。線はすべて細目告示か審査事務規程に書かれていて、タイヤの溝は1.6mm以上、前面ガラスの透過率は70%以上、ガソリン4サイクル車の排ガスはCO1%以下・HC300ppm以下、最低地上高は改造車で9cm以上です。受付で止まるのは自賠責の期間不足と自動車税の納税確認で、これは検査コースに入る前に直せます。
Q2:タイヤの溝が何mmだと車検に通りませんか?
1.6mm未満だと通りません(細目告示167条4項2号)。接地部の全幅のどこかでスリップサインが出ていれば、その1か所で不適合です。溝が残っていても、サイドウォールの亀裂やコード層の露出があれば同じく不適合です(同項3号)。フェンダーからタイヤやホイールがはみ出す車は178条2項で落ち、乗用車はサイドウォールの文字やリブが10mm未満はみ出す場合だけ認められます。
Q3:警告灯がついていると車検に通りませんか?
エンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSの警告灯が点いたままだと通りません。自動車技術総合機構の審査事務規程8-9(原動機)、8-13(かじ取装置=エアバッグ)、8-16(制動装置)が、これらのテルテールが継続して点灯している装置を基準不適合と定めています。パーキングブレーキの戻し忘れなら戻せば消えます。車検証に「OBD検査対象」とある車は、警告灯が消えていても故障コード(特定DTC)が残っていれば不合格です。
Q4:車検に通らなかったらどうなりますか?その日に乗って帰れますか?
不合格になると、提出した車検証は返ってきません(道路運送車両法62条2項)。当日の審査時間内なら2回まで再入場でき、直らなければ限定自動車検査証(有効期間15日)を受け取ります。この証で走ってよいのは、不適合箇所の整備と再検査のためだけで、元の車検証の満了日を超えては走れません(71条の2第4項)。満了日前なら整備工場や自宅までは乗って帰れます。満了日を過ぎた車は仮ナンバーか積載車で運びます。
Q5:車検の再検査の費用はいくらですか?
2026年4月1日以降、限定自動車検査証を持って運輸支局や軽自動車検査協会に持ち込む再検査は2,100円です(普通車・小型車・軽自動車とも)。指定整備工場で直して限定保安基準適合証を提出する場合は1,900円で、現車の持ち込みは要りません。15日を過ぎると継続検査を最初からやり直し、普通車2,600円・小型車2,500円・軽自動車2,500円です。当日の再入場は2回まで追加の手数料がかかりません。整備代は別にかかります。
Q6:車検に通らない車は廃車にするしかないですか?
出口は4つあります。乗らずに置く(自動車税は続く)、一時抹消登録して税を止める(普通車500円・翌月分から月割で還付)、車検切れのまま売る(買取は成立する)、廃車にして重量税の還付を受ける(永久抹消と同時申請のみ)です。修理代が車の値段を超えるなら売却か廃車、直す予定があるなら一時抹消で税を止めながら考えます。廃車の手続きは「車の廃車手続きのやり方」、一時抹消は「車の一時抹消登録とは」に手順をまとめてあるので、そちらを開いてください。
参考にした一次資料
- e-Gov法令検索「道路運送車両法」(62条 継続検査=不適合なら車検証を返付しない・71条の2 限定自動車検査証=交付要件・有効期間15日・整備と再検査のための運行に限る・構造等の変更で失効・15条 永久抹消登録・16条 一時抹消登録)
- 国土交通省「道路運送車両の保安基準(2026年3月31日現在)」(保安基準各条と細目告示の対照表。使用の過程にある自動車は細目告示第3節)
- 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(国土交通省・条文PDF): 第163条 最低地上高(9cm・アンダーカバー部は5cm・空車状態・樹脂製部品は除外・2003年9月26日版)/第167条 走行装置(溝1.6mm・二輪0.8mm・ウエア・インジケータで判定可・亀裂とコード層露出・空気圧・2022年1月7日版)/第178条 車枠及び車体(前方30°後方50°の突出禁止・乗用車のサイドウォール10mm未満・2023年9月22日版)/第195条 窓ガラス(透過率70%・運転者席より後方は対象外・2025年6月17日版)/第196条 騒音防止装置(消音器の取り外し・切断・除去・破損腐食・新車時+5dBの相対値・2025年2月28日版)/第197条 排出ガス(4サイクル車CO1%・HC300ppm、4サイクル軽CO2%・HC500ppm・2024年1月5日版)/第198条 前照灯等(白色・灯器損傷・レンズ汚損・取付の緩み・2025年6月17日版)/第212条 制動灯(赤色)/第215条 方向指示器(橙色・毎分60〜120回)/第219条 警音器(前方7mで87〜112dB・2016年1月20日版)/第220条 非常信号用具(夜間200m・赤色・自発光式)
- 自動車技術総合機構「審査事務規程」(8-9 原動機及び動力伝達装置・8-13 かじ取装置・8-16 乗用車の制動装置=テルテールが継続して点灯しているものは基準不適合/8-54 窓ガラス=亀裂が確認できるものは損傷等のあるもの/8-55 窓ガラス貼付物等=上縁20%以内・下縁150mm以内・後写鏡で遮へいされる範囲/8-56 騒音防止装置=交換消音器の表示/7-66-9 平成17年12月31日以前製作の前照灯は白色又は淡黄色)
- 自動車技術総合機構「再入場(不適合の場合)」(当日の再入場は2回まで・初回を含め3回・限定自動車検査証の申請方法・指定整備工場と認証整備工場の違い・発行日を入れて最大15日・車検証の有効期間を超えて運行できない・期限内に再申請しなければ全審査・車検切れなら車載車か仮ナンバー。ページの手数料は改定前の額)
- 自動車技術総合機構「令和8年4月1日以降の自動車検査手続きに関する手数料一覧」(PDF)(継続検査 持込検査 普通2,600円・小型2,500円・軽2,500円/限定自動車検査証での持込検査 普通・小型・軽2,100円/限定自動車検査証及び限定保安基準適合証の提出 1,900円)・同「自動車検査手数料について」(2026年4月1日改定の告知)
- 国土交通省「OBD検査とは?(ユーザー向け)」(対象=令和3年10月1日以降の新型車・輸入車は令和4年10月1日以降・車検証備考欄「OBD検査対象」・型式指定から2年かつ初度登録から10か月は対象外・開始=令和6年10月1日・輸入車は令和7年10月1日・特定DTCで不合格・ドラレコ等は外す)
- 国土交通省「10月より、車検の項目に電子装置の検査(OBD検査)が追加されます!」(2024年9月4日・PDF)(対象装置=運転支援装置・自動運行装置・排出ガス抑制装置・故障が確認されたら修理しなければ合格しない)
- 国土交通省「自動車騒音規制の推移」(PDF)(平成28年規制=近接排気騒音の相対値規制・新車時+5dB・新型車は平成28年10月1日以降、それ以外は令和3年9月1日以降/平成22年規制=消音器の除去構造の禁止と性能等確認済表示)
まとめ:車検に通らない項目は条文で線が決まっている。落ちたら15日と満了日の2つを見る
車検に通らない項目の線は、保安基準の細目告示と審査事務規程に書かれています。タイヤの溝1.6mm、前面ガラスの透過率70%、前照灯の白色、排ガスのCO1%・HC300ppm、最低地上高9cmが乗用車の現行の線です。マフラーは消音器の状態と表示、警告灯はエンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSの4つが判定の対象です。
2024年10月からはOBD検査が加わりました。車検証に「OBD検査対象」とある車は、故障コードで判定されます。警告灯を隠しても通らないので、原因を直してから受けてください。
不合格になっても当日2回まで再入場でき、直らなければ限定自動車検査証で15日以内に再検査します。手数料は2,100円、指定工場経由なら1,900円です。走れるのは整備と再検査のためだけで、元の車検証の満了日を超えられません。直せないなら、置く・一時抹消・売る・廃車の4つから、自動車税を止める順で選びます。
この記事のまとめ
- 不合格=保安基準に不適合と判定され車検証が返らない状態(道路運送車両法62条2項)。理由は検査コースの不適合・受付の書類と納税・電子装置の3分類
- タイヤは溝1.6mm以上・亀裂なし・フェンダーからはみ出さない(細目告示167条・178条)。前照灯は白色(2005年以前は淡黄色可)、ウインカーは橙色で毎分60〜120回
- 前面と運転席側面のガラスは透過率70%以上、亀裂は個別判定、ドラレコは上縁20%以内・下縁150mm以内・ミラー裏(195条・審査事務規程8-54/8-55)
- 排ガスはガソリン4サイクル車でCO1%・HC300ppm以下。マフラーは消音器の取り外し・切断・破損が不適合で、交換品は表示が要る。騒音は新車時+5dB(196条・197条)
- エンジン・エアバッグ・ブレーキ・ABSの警告灯は継続点灯で不適合(審査事務規程8-9・8-13・8-16)。OBD検査対象車は特定DTCで判定(2024年10月〜)
- 当日の再入場は2回まで無料。限定自動車検査証は15日で、走れるのは整備と再検査のためだけ、元の満了日を超えられない(71条の2)
- 再検査は持ち込み2,100円・指定工場経由1,900円・15日超過は2,600円(2026年4月1日以降)
- 直せない出口は置く・一時抹消・売る・廃車。自動車税を止めるなら一時抹消か抹消。重量税の還付は永久抹消との同時申請だけ
- 車検が切れたらどうなる?罰則は6点・免停30日と30万円以下の罰金|仮ナンバー750円で再車検する手順と自賠責切れの二重罰
- 車の廃車手続きのやり方|永久抹消登録・解体返納の必要書類と費用・15日以内の期限・自動車重量税の還付・しないとどうなる
- 車の一時抹消登録とは|必要書類・やり方・費用500円・自動車税の還付と再登録・永久抹消との違い
免責事項
※本記事は道路運送車両法、道路運送車両の保安基準とその細目を定める告示、自動車技術総合機構の審査事務規程・手数料一覧、国土交通省のOBD検査の公開資料をもとにした整理です(2026年9月時点)。基準の数値は乗用車の現行基準を中心に示しており、製作年月日・車種・用途によって適用される条文や数値が異なります(適用関係告示による従前規定など)。検査の合否は現車を審査する検査官の判定によるため、本記事の表は合格を保証するものではありません。手数料は2026年4月1日改定後の額で、改定されることがあります。実際の可否と手続きは管轄の運輸支局・軽自動車検査協会・整備工場にご確認ください。

