自動車保険を使っても等級が下がらないのは、人身傷害・搭乗者傷害・弁護士費用特約などだけを使ったノーカウント事故です。もらい事故で自分の車両保険を使うと、原則は等級が下がります。過失ゼロで相手がわかれば、無過失事故特約でノーカウントです。
この記事でわかること
- 事故の3つの区分(3等級ダウン・1等級ダウン・ノーカウント)と見分け方
- 使っても等級が下がらないノーカウント事故の一覧
- 盗難・台風・飛び石などの1等級ダウン事故の一覧
- もらい事故で等級が下がる場合と下がらない場合
- 無過失事故特約が使える4つの条件と、当て逃げが対象外になる理由
先に結論から
等級が動くのは、自分の自動車保険から保険金が出たときだけです。事故にあっても保険金を請求しなければ、翌年の等級は1つ上がります(SOMPOダイレクト)。
保険金が出た場合は、どの補償から出たかで3つに分かれます。相手への賠償や単独事故の車両保険は3等級ダウンです。自然災害や盗難の車両保険は1等級で、自分や家族のけがの補償だけならノーカウントになります。
この記事が扱う範囲
- 扱うのはどの事故で等級がいくつ下がるかの見分け方です
- 当て逃げの扱いは当て逃げされたら保険はどうなる?で詳しく扱っています
- 人身傷害保険の補償の中身は人身傷害保険とは?が本体です
事故の3つの区分と等級の下がり方
保険を使った事故は、3等級ダウン事故・1等級ダウン事故・ノーカウント事故の3つに分かれます。区分を決めるのは、事故の大きさではなく、保険金が出た補償の種類です。
事故の区分と翌年の等級(SOMPOダイレクトの例・2026年10月時点)
| 区分 | 翌年の等級 | 事故有係数の適用期間 | 主な例 |
|---|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 3つ下がる | 翌年の契約から3年間 | 対人・対物賠償を使った事故、単独事故や当て逃げで車両保険を使った事故 |
| 1等級ダウン事故 | 1つ下がる | 翌年の契約から1年間 | 盗難・水災・落書き・飛び石・台風の飛来物で車両保険を使った事故 |
| ノーカウント事故 | 1つ上がる(ほかに事故がなければ) | なし | 人身傷害・搭乗者傷害・個人賠償責任特約・ファミリーバイク特約・弁護士費用特約だけを使った事故 |
出所: SOMPOダイレクト「等級ダウン事故とは」(3区分の例・事故有係数の適用期間は3等級ダウンで3年間・1等級ダウンで1年間)、SOMPOダイレクト「弁護士費用特約」(特約のみの使用はノーカウント事故)。
等級の下がり方は「保険金が出た補償」で決まる
- 事故で自分の保険から保険金が出た
- 対人・対物賠償/単独事故の車両保険3等級ダウン。事故有係数は3年間
- 盗難・水災・落書き・飛び石の車両保険1等級ダウン。事故有係数は1年間
- 人身傷害・搭乗者傷害・弁護士費用特約などだけノーカウント。ほかに事故がなければ翌年1等級上がる
図:SOMPOダイレクト「等級ダウン事故とは」「弁護士費用特約」から整理。区分の細かい扱いは保険会社の約款で決まる。
1年に2回使うと下がり方を合算する
1年の間に2回保険を使うと、それぞれの等級ダウンを足して翌年の等級に反映します。SOMPOダイレクトの例は17等級の人です。3等級ダウン事故と1等級ダウン事故を1回ずつ起こすと、翌年は4つ下がって13等級になります。
1等級ダウン事故が2回なら、2つ下がって15等級になります。ノーカウント事故は何回あっても数に入りません。
等級が下がらないノーカウント事故の一覧
ノーカウント事故は、保険金を受け取っても事故の件数に数えない事故です。自分や家族のけが、日常の賠償、原付、弁護士費用の補償がここに入ります。どれも、車の事故の相手への賠償や自分の車の修理には当たりません。
使っても等級が下がらない補償と例(2026年10月時点)
| 使った補償 | 事故の例 | 翌年の等級 |
|---|---|---|
| 人身傷害保険・搭乗者傷害保険 | 自分や家族が車の事故でけがをした | 1つ上がる |
| 個人賠償責任特約 | 飼い犬が他人にかみついた、自転車同士で接触した | 1つ上がる |
| ファミリーバイク特約 | 原付で他人とぶつかった | 1つ上がる |
| 弁護士費用特約 | もらい事故で相手に賠償を求める弁護士費用を払った | 1つ上がる |
| 車両保険(無過失事故特約が適用) | 停車中に追突され、相手の車と運転者がわかった | 1つ上がる |
出所: SOMPOダイレクト「等級ダウン事故とは」(人身傷害・搭乗者傷害・個人賠償責任特約・ファミリーバイク特約)、SOMPOダイレクト「保険を使用した場合の留意点」(自転車同士の接触)、同「弁護士費用特約」、同「無過失事故特約とは」(2026年10月5日更新)。どの特約をノーカウントにするかは保険会社で違うことがあります。
「その補償だけ」がノーカウントの条件
ノーカウントになるのは、その事故で使った補償が表の補償だけの場合です。SOMPOダイレクトも、ノーカウントの条件を「弁護士費用特約のみを使用した場合」と書いています。
同じ事故で相手の車の修理に対物賠償も使えば、対物賠償の分で3等級ダウン事故になります。自分のけがに人身傷害を使い、相手の車に対物賠償も使った場合は、等級は3つ下がると考えてください。
保険を使わなければ翌年は1つ上がる
事故の連絡をしただけで、保険金を請求しなければ、等級は下がりません。SOMPOダイレクトは「事故にあっても保険金を請求しなかった場合は、翌年の等級が1つ上がります」と案内しています。
自分の過失がある事故でも、相手への賠償や自分の修理を自費で払えば、等級はそのままです。使うか迷うときの確かめ方は、最後の章にまとめました。
1等級ダウン事故の一覧
1等級ダウン事故は、車両保険を使ったが、相手との衝突や自分の運転ミスではない事故です。盗難や自然災害など、運転で避けにくい損害がここに入ります。
1等級ダウンになる主な事故(車両保険を使った場合・2026年10月時点)
| 原因 | 事故の例 |
|---|---|
| 盗難 | 車が盗まれた |
| 水災 | 台風や大雨で車庫が浸水し、車が水に浸かった |
| いたずら | 車に落書きされた |
| 飛び石 | 走行中の飛び石でフロントガラスにひびが入った |
| 台風の飛来物 | 台風で飛んできた物が当たって車が壊れた |
出所: SOMPOダイレクト「等級ダウン事故とは」(盗難・車庫での水災・落書き・飛石・台風の飛来物は1等級ダウン事故)、SBI損保「台風、大雨、ゲリラ豪雨による損害」(台風などの損害で使うと等級が1つ下がり、事故有係数の適用期間は1年間)。
飛び石は「走っていたら勝手に当たった」ので等級は下がらないと思われがちです。実際はSOMPOダイレクトの例でも1等級ダウン事故です。ガラス交換に車両保険を使うと、翌年の等級は1つ下がります。
1等級ダウンは事故有係数が1年で終わる
1等級ダウン事故の事故有係数の適用期間は、翌年の契約から1年間です。3等級ダウン事故の3年間と比べて、割引が戻るのが早いのが特徴になります。
事故有係数の期間が終わると、同じ等級でも無事故の割引率に戻ります。修理代が小さいなら、1年分の保険料の差と比べてから使うか決めても遅くありません。
もらい事故でも等級が下がる場合と下がらない場合
もらい事故で等級が動くかは、自分の保険を使うかどうかで決まります。相手の保険で自分の車を直してもらうなら、自分の等級は変わりません。
もらい事故の状況別の等級(2026年10月時点)
| 状況 | 使う保険 | 翌年の等級 |
|---|---|---|
| 相手の対物賠償で自分の車を直す | 相手の保険 | 変わらない(自分の保険は使わない) |
| 過失ゼロで相手の車と運転者がわかり、自分の車両保険を使う | 自分の車両保険+無過失事故特約 | ノーカウント |
| 自分にも過失があり、自分の車両保険や対物賠償を使う | 自分の保険 | 3等級ダウン |
| 当て逃げで相手がわからず、自分の車両保険を使う | 自分の車両保険 | 3等級ダウン(特約の対象外) |
| 自転車や歩行者との事故で、自分の車両保険を使う | 自分の車両保険 | 下がる(特約の対象外) |
| 弁護士費用特約だけを使う | 自分の弁護士費用特約 | ノーカウント |
出所: SOMPOダイレクト「無過失事故特約とは」(2026年10月5日更新・当て逃げ・自転車や歩行者との事故・自分にも過失がある事故は対象外)、同「弁護士費用特約」。
もらい事故で自分の車両保険を使うと、等級は条件しだいで分かれる
- 自分の車両保険を使う?
- 1使わない相手の保険か自費で直すなら、自分の等級は変わらない
- 2相手は車か自転車・歩行者・当て逃げは無過失事故特約の対象外
- 3相手の車と運転者がわかるかナンバーと運転者の住所・氏名を確かめる
- 4自分の過失はゼロか過失割合0対100で確定すればノーカウント。少しでも過失があれば3等級ダウン
図:SOMPOダイレクト「無過失事故特約とは」(2026年10月5日更新)の条件から整理。特約の名前と条件は保険会社ごとに違う。
無過失事故特約がノーカウントになる4つの条件
無過失事故特約は、もらい事故で自分の車両保険を使ってもノーカウント事故として扱う特約です。SOMPOダイレクトは、多くの保険会社で車両保険に自動でセットされていると説明しています。
無過失事故特約が使える条件(SOMPOダイレクトの説明)
- 車両保険が付いている
- 相手の自動車との接触・衝突である(原付・バイクを含む・所有者が違う車)
- 相手の車のナンバーなどと、運転者の住所・氏名を確認できる
- 自分の車の所有者と運転者のどちらにも過失がない(過失割合0対100で確定)
対象の例は、信号待ちで追突された事故や、センターラインを越えてきた車との事故です。赤信号を無視して入ってきた車とぶつかった場合も入ります。駐車中にぶつけられた場合も、相手の運転者がわかれば対象です。
当て逃げと自転車との事故は特約が使えない
当て逃げは、自分に過失がなくても相手の車と運転者を確かめられないので、無過失事故特約の対象外です。車両保険で修理代は出ても、等級は下がります。
自転車や歩行者との事故も、相手が自動車ではないので対象外です。相手がわからない、または相手が車でないもらい事故は、車両保険を使うと等級が下がります。
10対0のもらい事故は自分の保険会社が交渉しない
過失ゼロのもらい事故では、自分の保険会社は相手と示談交渉をしません。SOMPOダイレクトは、保険会社が代わりに交渉すると弁護士法72条に触れるためだと説明しています。
相手の保険会社とのやり取りを自分で続けるのが負担なら、弁護士費用特約を使って弁護士に頼めます。特約だけを使えばノーカウントで、等級は下がりません。交渉の流れは追突事故に遭ったら?をご覧ください。
保険を使うか迷ったときの確かめ方
等級が下がる事故で保険を使うかは、修理代と、翌年以降の保険料の増え方を比べて決めます。保険会社に連絡しても、請求しなければ等級は下がりません。
保険を使う前に保険会社に聞くこと
- この事故は3等級ダウン・1等級ダウン・ノーカウントのどれになるか
- 使った場合と使わない場合の、翌年からの保険料の見積もり
- 事故有係数の期間(3等級ダウンは3年、1等級ダウンは1年)を通した合計の差
- 無過失事故特約や弁護士費用特約が付いているか
- いったん請求したあと、取り下げて自費に切り替えられるか
1等級ダウン事故は事故有係数が1年で終わるので、3等級ダウン事故より使う側に傾きやすくなります。もらい事故なら、まず無過失事故特約の条件に当てはまるかを確かめるのが先です。
事故の直後にやることの順番は自動車保険の事故後の報告手順にまとめています。
よくある質問
Q1:もらい事故で自分の保険を使うと等級は下がりますか?
使う補償と条件しだいです。相手の保険で直すなら自分の等級は変わりません。自分の車両保険を使っても、過失ゼロで相手の車と運転者がわかれば無過失事故特約でノーカウントになります。当て逃げや自転車との事故は特約の対象外で、等級が下がります。
Q2:ノーカウント事故とはどんな事故ですか?
保険金を受け取っても事故の件数に数えない事故です。人身傷害・搭乗者傷害・個人賠償責任特約・ファミリーバイク特約・弁護士費用特約だけを使った場合です。ほかに事故がなければ、翌年は1等級上がります(SOMPOダイレクト)。
Q3:1等級ダウン事故にはどんな例がありますか?
車両保険を使った盗難・水災・落書き・飛び石・台風の飛来物が代表的な例です(SOMPOダイレクト)。等級は1つ下がり、事故有係数の適用期間は翌年の契約から1年間です。3等級ダウン事故の3年間より短く済みます。
Q4:飛び石でフロントガラスが割れたら等級は下がりますか?
車両保険を使えば1等級下がります。SOMPOダイレクトの例でも、飛び石でフロントガラスにひびが入り車両保険金が支払われる事故は1等級ダウン事故です。自費で交換すれば等級は下がりません。
Q5:1年に2回保険を使うと等級はどうなりますか?
それぞれの下がり方を足して、翌年の等級に反映します。17等級の人が3等級ダウン事故と1等級ダウン事故を1回ずつ起こすと、翌年は13等級です(SOMPOダイレクト)。ノーカウント事故は回数に入りません。
Q6:弁護士費用特約を使うと等級は下がりますか?
弁護士費用特約だけを使った場合は下がりません。SOMPOダイレクトは、弁護士費用特約のみの使用をノーカウント事故として扱います。翌年の保険料や等級には影響しないという説明です。同じ事故で対物賠償や車両保険も使えば、その分で等級が下がります。
参考にした一次資料
- SOMPOダイレクト「等級ダウン事故とは」(3等級・1等級・ノーカウントの例/1年に2回は合算/事故有係数の適用期間は3年間・1年間)
- SOMPOダイレクト「自動車保険の等級制度とは」(保険金を請求しなかった場合は翌年の等級が1つ上がる)
- SOMPOダイレクト「無過失事故特約とは」(2026年10月5日更新・4つの条件・対象と対象外の例・多くの会社で車両保険に自動セット)
- SOMPOダイレクト「弁護士費用特約」(特約のみの使用はノーカウント事故・もらい事故で保険会社が示談交渉できない理由)
- SOMPOダイレクト「保険を使用した場合の留意点」(自転車同士の接触の個人賠償責任特約はノーカウント)
- SBI損保「台風、大雨、ゲリラ豪雨による損害」(台風などの損害で使うと等級が1つ下がり、事故有係数の適用期間は1年間)
まとめ:等級は保険金が出た補償で決まる
等級が下がらないのは、ノーカウント事故です。人身傷害・搭乗者傷害・個人賠償責任特約・ファミリーバイク特約・弁護士費用特約だけを使った場合が当たります。盗難・水災・飛び石などの車両保険は1等級、相手への賠償や単独事故は3等級下がります。
もらい事故は、自分の保険を使わなければ等級は動きません。自分の車両保険を使うなら、過失ゼロ・相手の車と運転者がわかる、という無過失事故特約の条件を先に確かめてください。
この記事のまとめ
- 等級が動くのは自分の保険から保険金が出たときだけ。請求しなければ翌年1等級上がる
- ノーカウント=人身傷害・搭乗者傷害・個人賠償責任・ファミリーバイク・弁護士費用の各補償だけを使った事故
- 1等級ダウン=盗難・水災・落書き・飛び石・台風の飛来物の車両保険。事故有係数は1年
- 3等級ダウン=対人・対物賠償、単独事故や当て逃げの車両保険。事故有係数は3年
- もらい事故で過失ゼロ・相手の車と運転者がわかれば、無過失事故特約でノーカウント
- 当て逃げ・自転車・歩行者との事故は無過失事故特約の対象外
- 当て逃げされたら保険はどうなる?3等級ダウンと無過失事故特約が効かない理由
- 人身傷害保険とは?搭乗者傷害との違いと、使っても等級が下がらない仕組み
- 追突事故に遭ったら?10対0だと自分の保険会社が示談交渉できない理由
免責事項
※本記事は、SOMPOダイレクト・SBI損保の公式ページの公開情報をもとにした整理です(2026年10月時点)。事故の区分・ノーカウントにする特約・無過失事故特約の名前と条件は、保険会社と契約の時期によって異なります。実際の扱いは、ご契約の保険証券・約款と保険会社の窓口でご確認ください。

